なぜ戦争はなくならないのか

神宮寺淑人    

目次 第1章 第2章 あとがき
 

  12.あとがき

 私は小学2年生の時に終戦を迎え、その直前直後の厳しく辛い経験をした者の一人です。

 当時は食糧不足から学校へのお弁当は蒸かし芋でしたし、メディアは新聞とラジオだけでした。

 現在は飽食の時代と言われ当時には信じられないような食生活となり、メディアに至ってはテレビは、ともかくネットをはじめスマートフォンに始まる双方向伝達手段が発達しましたが、これほどの社会的環境の急激な変化を経験した世代は後にも先にも私たちの世代に於いてはないのではと思います。

 人々の飽くなき欲望は、この間に多数の文明を生み出しましたが一方では多数の悲劇も生み出すこととなり我々の世代から見れば昔の方が良かったと思われることが散見されるようになりました。一方、世界に目を向けてみると、この文明の発達は原爆をはじめとする大量破壊兵器の拡大を招き、力による勢力拡大が日常茶飯となり世界に不安と恐怖をまき散らしています。

 特に人間が本来の持つ可能性(芸術、文化等により人間らしく生きる)の実現を目指そうとする民主主義国家と、何事も政府の指導により人間の持つ可能性を制限し国民の犠牲の上に立つ非民主主義国家との対立は深刻で、このままでは行き着くところまで行かなければ治まる様子がなく第3次世界大戦も考えられる状況になっているようです。

 こういう時期に当たり、これまでに、まれに見る経験をした者として黙ってもいられなくなり今回このような一文を作成することを思い立ちました。特に次代を背負うであろう今の高校生、大学生に伝えたく、なるべく平易な表現をとったつもりですが、ご理解頂ければ幸いです。また高齢化により記憶力、回転量の低下は、いかんともし難く読みづらく、理解しにくい点のあることをお許しください。

 ここまで、お付き合い頂き有り難うございました。世界に平和が来ることを念じつつ!

(完)    
神宮寺淑人(86歳) 


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